ED編⑦ 平成11年6月18日スポーツニッポン新聞北海道版掲載
たばこによる影響
近ごろは至る所で嫌煙権が叫ばれるようになり、実に住みづらくなったとお嘆きの愛煙家も多いことと思います。ただ、たばこが人体にさまざまな悪影響を与えることは紛れもない事実です。
まずは、がん。
日本人男性の肺がんはその3分の2がたばこによると考えられています。このほか口腔咽頭(いんとう)がん、喉頭(こうとう)がん、食道がん、膵臓(すいぞう)がん、膀胱(ぼうこう)がん、子宮頚がんといったがんも、たばこが重要な危険因子になっています。
たばこが引き起こす病気は、がんだけではありません。動脈硬化にもたばこが深く関与しています。この動脈硬化が心臓の冠動脈で起これば狭心症や心筋梗塞(こうそく)を引き起こしますし、脳血管で起これば脳梗塞を引き起こします。そして、陰茎血管系で起こるとED(勃起障害)の原因になるのです。
自分は大丈夫?そんなことないですよ
「おれは長いことたばこを吸っているが、勃起の方は全然心配がない」と、たばことEDとの関係を否定される方もいらっしゃることでしょう。しかしながら、それは、喫煙が必ずしも血管系の障害を引き起こすとは限らないといっているだけであって、たばこと血管系の障害が無関係であるという証明にはなりません。事実、喫煙者は非喫煙者に比べて動脈硬化が原因で起こる病気の発生頻度が明らかに高くなっていますし、禁煙することで、病気の治癒(ちゆ)率が高まることも証明されています。例えば、冠動脈疾患の死亡率をみても、禁煙期間が長いほどその率は低下するといわれています。
見方を変えてみましょう。EDがもし動脈硬化によって起こっているとしたら、あるいはこの病気は心臓の冠動脈や脳血管でも起こってくるかもしれません。つまり、EDが心筋梗塞や脳梗塞といった生命を脅かす重大な病気の前兆になっている可能性もあるのです。
あなたが愛煙家のED患者だとしたら,EDのためにも、そして健康に生きていくためにも、この際思い切って禁煙に取り組んでみてはいかがですか。