ED編③ 平成11年5月21日スポーツニッポン新聞北海道版掲載
『心因性のEDの治療 セックスセラピー』
悪循環に陥ったら
心因性ED(勃起障害)は、1度悪循環になると、症状は悪化するばかりで、なかなか自力で治すのは困難です。勃起させなければと焦る心がますます勃起しづらくさせてしまうからです。
このような状況では、勃起のことを全く考えずに、性的雰囲気を楽しむことが一番の治療となります。
そうすることで、余計なプレッシャーがとれて、結果的に勃起がよみがえってくるからです。
心因性EDの治療法~感覚集中訓練~
さて、それでは、私たち性機能の専門医が、実際にどのようなやり方で治療を行っているのかご説明しましょう。最もオ-ソドックスなのは、感覚集中訓練と呼ばれるセックスセラピーです。
感覚集中訓練の詳しい内容だ!パートナーは大切だゾ!
治療の段階は5段階に分かれています。
私は1段階につき、原則として2週間かけ行うよう指導しているので、順調に行っても治療が終了するまで10週間もかかります。
①まず、第1段階では、お互いの性器以外の体を交互に愛撫し合ってもらいます。
ここで大切なのは、相手のことは全く気にせず、 自分の触られた快感だけを楽しむことです。
触ってほしいところ、触られ方の好みはどんどん相手に伝えます。
これで心地よい感覚が得られるようなら、 第2段階へ進みます。
②第2段階では第1段階の行為に性器へのタッチングが加わります。
ただし、射精までいってはいけません。
ここまでを純粋に楽しむことができれば、本人が意識しなくても、結果的に勃起しているはずです。
勃起を自覚出来るようになると、第3段階に進みます。
③ここではいよいよ女性上位で短時間の挿入を試みます(射精まではしません)。
女性上位とするのは、自律神経の関係から、この体位が最も勃起しやすいことと、 勃起の硬さが
多少不十分でも挿入することが可能だからです。
④第5段階では、この体位で膣内射精
⑤最終の第5段階では体位を正常位に変えてトライ。
これでうまくいけば治療は終了となるわけです。
ただ、これを実践するには、女性の忍耐が不可欠で、 女性の慈悲深い心があっての 治療であることを忘れてはいけません。