Dr.鈴木の体験談③ 平成11年8月27日スポーツニッポン新聞北海道版掲載
高3でもDr.鈴木?
先日、久しぶりに高校のクラス会がありました。その中にA君の姿を見つけ、20年前のおちんちん腫(は)らし事件が私の頭に鮮やかによみがえってきました。
A君は高校3年生の時の同級生。当時、彼は驚くほど性に関して無知で、私がその手に関する相談役を引き受けていました。A君が初めて自分が包茎であると気づいたのもちょうどその頃でした。私は包皮をめくることが出来れば仮性包茎だから心配はいらないとアドバイス、それを聞いた彼はさっそくその日の放課後、包皮をめくりに学校のトイレに駆け込みました。その結果、うまく包皮をめくることができ、その日彼は上機嫌で帰っていきました。ところが、翌日、悲壮な顔でまた相談に来ました。今度はめくった包皮が腫れ上がって痛いというのです。なぜそんなことになったのか、当時の私には知るよしもありませんでしたが、すぐに元に戻さないとたいへんなことになると直感しました。私に促されてその日も学校のトイレに入るはめになったA君でしたが、しばらくして「うまく戻ったよ」と汗をかきながらもにこやかにトイレから出てきたのがつい昨日のことのように思い出されます。
なやんでいる人は相談してみてはいかが
包茎には、包皮をめくることが出来ない真性包茎とめくることが出来る仮性包茎があります。真性包茎の場合は手術が必要ですが、仮性包茎の場合は原則として手術は必要ありません。ただし、仮性包茎といえども手術しなければならないものもあります。そのひとつが包皮輪がきついもので、これを無理にめくるとちょうどA君のように陰茎が締め付けられて亀頭部に循環障害が起こり腫れてしまうのです。放置しておけば嵌頓(かんとん)包茎といって包皮が元に戻せなくなってしまうこともあります。
というわけでA君、あの時、君に包皮をすぐ元に戻させたのは今思えば大正解だったわけだけど、最終的には手術しないと問題の解決にはならないんだ。ぼくが泌尿器科医になったのも何かの縁。20年越しの問題解決のためぜひ一度ぼくの外来に来てくれないか。