性感染症編③ 平成11年7月30日スポーツニッポン新聞北海道版掲載
日本はエイズ大国アメリカと同じ道を歩むか?
幸いなことに、今のところまだ日本ではエイズはさほど広がっていません。道内の累積HIV感染者、患者数も本年(注:平成11年のことです)4月末の時点で47人ほどに過ぎません。
このような状況ではエイズに対して危機意識をもてという方が無理かもしれません。
「クラミジアの陰にエイズあり」と言われても、そんな大げさなと思われている方が大半でしょう。
しかし、この標語を提唱されている熊本悦明札幌医科大学名誉教授によると、今の日本は確実にエイズ大国の道を歩んでいると断定されます。
そもそもエイズが流行するかどうか左右するのは、現在の患者数ではなく、その増え方にあるのだそうです。
日本のHIV感染者、患者数の増え方は直線的ではなくカーブが反ったような形で増え始めていますが、この増え方がアメリカの1980年代後半の時の上がりカーブとちょうど同じなのだそうです。
その当時アメリカ社会はエイズを同性愛者や麻薬常習者だけがかかる特殊な疾患ととらえていました。
しかし、実際には一般の人も普通の異性間のセックスをしただけで感染していき、きがついたらアッという間に国中に広がったのです。これはエイズを薬害によって感染する特殊なものとみている今の日本社会の状況と酷似していませんか。
性感染症に対しての誤認
さて、それでは日本がエイズ大国とならないようにする手だてはないのでしょうか。熊本悦明名誉教授は次の2点を強調されています。
まず1点はほかの性感染症の予防目的も含めたコンドーム使用の徹底。
そして、第2点はHIV検査を積極的に受けることです。